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ウィーン美術アカデミー名品展(損保ジャパン東郷青児美術館)-美術展の感想-
2006-10-27 Fri 03:07
「ウィーン美術アカデミー名品展に出掛けよう」と思ったのは、≫ベルギー王立美術館展の感想記事を書き終えて、いろんな人のベルギー王立美術館展に関する記事を読んで「ウィーン美術展も見逃せない」と書いている人が多かったからです。

↓損保ジャパン本社ビル前で撮った美術展の案内。
wwwn.jpg


美術館へ入り、美術展の序文を読むと、ウィーン美術アカデミーには僕の大好きな、『ヒエロ二ムス・ボス』の作品が所蔵されているとのこと。東京都美術館で開催されたプラド美術館展もそうでしたが、今回もさすがにボスの作品は来ていませんでした。

(ボスの代表作、≪快楽の園≫はプラド美術館所蔵)

残念に思うとに共に、両美術館を訪れたい、と思う気持ちが強まります。

館内を見回すと、お客さんは数人で来ているマダムが中心。一人出来ている人は少なく、≫ダリ回顧展に多く見られたような、作品そっちのけでいちゃつくカップルは皆無でした。あと、子供連れも居ませんでしたね。僕好みの落ち着いた客層でした。

最初の部屋にはルーカス・クラナハの作品が複数ありました。彼の作品は本で見たことはあります。

本人作の≪ルクレティア≫などは女性の物憂げな表情、やさしい体のラインなど、細かな所まで気の行き届いた作品だと思いました。しかし、冒頭の美術展案内の写真でも使われている≪聖ドロテア≫は顔の表情こそ深い感情表現が見られますが、服の描き方は立体感も無く、雑な感じがしました。作は「ルーカス・ドロテア(父)の工房」となっています。

まぁ、1500年代の絵画を間近で見られるというのはすごいことですね。

館内の説明文では、アントニス・ファン・ダイクの≪15歳の頃の自画像≫、ペーテル・パウル・ルーベンスの≪三美神≫に対する賞賛が述べられていました。

15歳の頃の自画像≫は「15歳の時に描かれた初の自画像」という説明を抜きにしても目を見張るものがあります。斜に構えて、展覧者へ(この場合、僕へ)目線をやる15歳のアントニス・ファン・ダイクは確かに「写真とは全く異なる存在感」でそこに居ました。インパクト勝負の奇抜な構図で無いだけに、基本的な技術の高さが際立ちます。

ルーベンスという名は「巨匠」という枕詞と共に、よく耳にしたと思うのですが、≪三美神≫に関しては僕の心に届くものはありませんでした。

次の部屋以降では、ピーテル・ブール、ヤン・フェイトらの静物絵が続きましたが、「まるで写真のように」完成度高く、静物を描かれても、僕にとっては「それがどうしたの?」となってしまいます。猿と果物を一緒に描かれても、シュルレアリスムの手法『デペイズマン』にみられるような「組み合わせの妙」は感じられません。ヤン・フェイトの描く、葡萄の質感、オウムの羽毛はすごいことはすごいですよ。

「社会と肖像画」という区画には、当時のヨーロッパの市民生活が伝わる絵画が多数並んでいました。僕は歴史の勉強がしたいわけではないので、当時の市民生活にはあまり興味が無いのですが、数点は面白い作品がありました。

ヤン・リスの、≪放蕩息子≫に描かれた作品の主人公(まさしく放蕩息子なのでしょう)は婦人の胸に手をやり、目は完全にイッちゃってます。表情が面白いですね。

レンブラント・ハルメンス・ファン・レンスの描いた≪若い女性の肖像≫はおそらく夫と対で描かれたもので、夫側の作品は不明とのこと。≪若い女性の肖像≫は完成度の高い肖像画ですね。表情もさることながら、服もしっかり描かれています。市民生活全般には興味は無いのですが、服飾史には興味があるので、服は細かいところまで見てしまいますね。「何が違う」といわれても困るのですが、先ほどの静物画とは違い、この肖像画からは「完成度の高い写実性」以上のものを感じます。

ニコラス・マースの≪アドニスの装いの少年の肖像≫に興味を持ったのも、テーマが服の装いだからでしょう。

「オランダとイタリアの風景画」の区画では、優秀な風景画が数多くありました。特に海と舟を描いた「海景画」が興味深く、レイニエ・ノームスの≪停泊する商船≫は長い間眺めていたと思います。

先ほどの「静物画と写真」の話のように、「この風景、実際に行って見た方が良くね?」と思うか、思わないかが、僕にとって「良い風景画かそうでないか」の境界線となります。その線引きがどのようになされているかは、今日の僕のボキャブラリーでは上手く説明できません。

風景画の中でも、自然風景画より建築が主役の風景画の方が、より面白く感じます。

フランソワ・ド・ノメの≪奇想の建築≫、ユベール・ロベールの≪奇想の廃墟≫はシュルレアリスムに通じる作風で非常に面白いですね。≪奇想の建築≫は1620年代の作品ですが、デ・キリコの作品を思わせる「謎めいた(=図録の説明文より)」魅力に満ちた作品です。

それらの謎めいた作品とは別に、ミケーレ・マリエスキの≪リオ・ディ・カナレージョ≫、フランチェスコ・グアルディの≪サン・マルコ広場と時計塔≫などは、単純に「こんな街歩いてみてー」と思います。こういう面白い風景画の魅力はなんだろうね。写実的なんだけど、ある種ファンタジックなんですよね。写真と絵本の魅力の良い処取り、みたいな。フランチェスコ・グアルディは他の作品もすばらしかった。

様子の良い風景画の多かった本展ですが、一番最後の方にあった、ローベルト・ルスの≪ベンツィンガー・アウ(ベンツィンクの湿地)の早春≫は、136×186cmというサイズもさることながら、息を呑むような美しさ哀愁のある絵でした。夕日、湿地の水溜り、園水面に映る葉の落ちた木々、数人の道行く人。本来、シュルレアリスム、幻想絵画、抽象絵画のような「写真に撮れっこない」作品が好きな僕ですが、「風景画も良いなぁ」としみじみ思える、幸せな出会いでした。

ベンツィンガー・アウ(ベンツィンクの湿地)の早春≫を眺めながら、息を呑んだり、ため息をついたり、まぁ、大変でしたよ。

美術展に行く前日にホームページで知ったのですが、今回の美術展の監修は千足伸行さん、国立西洋美術館に勤務経験のある、成城大学文芸学部教授。そして何より、僕がアートにのめり込むきっかけになった≫すぐわかる画家別幻想美術の見かた の著者であります。今回の美術展の説明文も非常に分かりやすく、図録も良い感じ。今回見た作品そのものはともかく、ウィーン美術アカデミーがどういうところか、はまだ未消化なので、図録もしっかり読み込みたいと思います。

「ミュージアムショップには千足さんの著作が山済みになっているのかな?」なんて思っていたのですが、全く置いていなかった気がしますので、いくつか紹介しておきます。

すぐわかるギリシア・ローマ神話の絵画すぐわかるギリシア・ローマ神話の絵画
(2006/03)
千足 伸行

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神話を扱った作品は幻想的で魅力的。解説もバッチリ。


すぐわかる キリスト教絵画の見かたすぐわかる キリスト教絵画の見かた
(2005/09)
千足 伸行

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宗教絵全般には興味は無いのですが、「好きな絵が実は宗教色の強い絵だった」ということはあるので勉強になります。


すぐわかる画家別幻想美術の見かたすぐわかる画家別幻想美術の見かた
(2004/11)
千足 伸行

商品詳細を見る
私が美術鑑賞に目覚めるきっかけになった本。沢山のアーティストを簡潔な文章で紹介しているので入門書としては最適。私はこの本で、デ・キリコ、ヒエロニムス・ボス、マグリット、エルンストらを知ることが出来ました。


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